「自然に近い形で治癒させる」治療が良い
内胸動脈を使用して冠動脈との直接吻合を内胸動脈狭窄症に世界始めて1958年2月に成功して以来、左右内胸動脈と右胃網動脈と主要冠動脈直接吻合を施行したが、見学に来訪したクリーブランドクリニックのファバロロ博士とフマナ病院のデイートリック博士は手術を容易にするため伏在静脈の移植の使用を広めたため、栄養血管が欠如し動脈圧に耐えられないので繊維化による狭窄が起こった為20年前からは開存率が95%である自己動脈の使用が推奨されている。
心臓弁の修復に人工弁を避けて心嚢膜や広筋膜の使用を1953年に発表したが、現在僧房弁と大動脈弁再建に心嚢膜が使用され始めている。
人体に異物を挿入することは拒否反応が起こるので、輸血も異物であるので輸血を拒否するエホバ証人を無輸血で7000人に殆どの臓器の手術を施行し、500㏄の食塩水充填で一回の通過で血液を酸化出来る人工心肺を作成し、300例の開心術を施行したが、現在人工心肺の改善により約三分の一の開心術は輸血をせずに施行されている。以上の理由で患者の人体を自然に近い形で治癒させる事が自然の摂理を尊重する多くの伝統医療に関心を持ち始めた。
医療の発展には世界の医療制度を視察し、日本に適した医療制度と医療を導入する事が重要であるとの観点から現在迄20年間に137ヵ国を訪問し、先進国10か国には数回に亘り、新興国12ヵ国、発展途上国115ヵ国では医療制度の改革により近代医療の導入を指導すると共に民族伝統医療の治療士と直接面談により全人類の70%は近代医療の恩恵に浴する事が出来ないため、伝統医療に依存している。ポルトガル、スペインなどの植民地政策により殆どの伝統医療が破棄されたが、東洋では日本の漢方、中国の中医学、印度のアユルベーダ、モンゴル、チベットのチベット医学は従来の形で保存されている。 伝統医療は全人的で自然の恩恵を尊重し、西洋医療は17世紀にデカルトの心身二元論を根拠として科学が発達し、180年にランネックの聴診器発明とジェンナーの種痘や、1830年のロキタンスキーの解剖学、1858年のビルショーの病理学、1860年のパスツール、コッホの細菌学により近代医療が発展し始めた。
但し、心身二元論により精神病学はフロイドにより1930年になるまで導入されなかった。近代医療は臓器中心医療で伝統医療の全身的医療であるため、両者を融合することにより理想的な医療が可能となる。最近先進国でも伝統医療の研究や独自の伝統医療の復活をしている。
日本の医療は基本的には西洋近代医療であるが、その欠陥を補うために民族伝統医療と新興医療の利点を融合することによって、不必要・不適当な治療を避け、医療費の浪費を防ぐことが可能であり、またそれは国民の健康・福祉の増進に役立つと思われる。日本の医療のあるべき姿について、皆様のご批判を仰ぎたいと存ずる次第であります。(廣瀬 輝夫 著書『融合医療』詳しくはアマゾンにて)